キャンピングカーの暖房設備

夏は車載エアコンがあるとはいえ、狭い車内では個々の快適温度の違いもあって温度調節が難しく、電力の制約もあるキャンピングカーにとって必ずしも快適に過ごせる季節とは言えません。

反対に冬の寒さは暖房でなんとでもなります。
FFヒーターを効かせた車内では、34ミリの断熱壁の向こうが雪だろうが薄着で過ごせますし、就寝時には暖房を弱めて羽毛布団と毛布で気持ちよく眠ることができます。

よく言われることですが、冬が一番キャンピングカーの利点を感じる季節です。

エクシス-i504には、6メートル未満にしては出力の大きい6kWのFFヒーターボイラーがリビングシート部分に装備されています。

鉛バッテリーの時の画像 太いダクトは排気用

前車のキャブコンは6.6メートルに4Kwで、その空間を暖めるには十分でしたが、ヒーター本体からの配管で一番遠い右後ろのベッドサイドと壁の間からの吹出口には温風が届かず、クッションを置いて壁からの冷気を防いだ経験があります。

エクシスは車内のいたるとこまで暖房の配管が行き届いています。

リビングシート下の本体から、後方へシャワートイレブース、リアベッドの頭・足元、ラゲッジルーム、そして通路床とその下にある2つのタンクの凍結防止用に、前方へは運転席周りガラス、フロントシート2脚の足元前後といったように少しやりすぎと思うほどです。そして家具と壁の間は通気層を設ける構造なので、家具内部の温度差がありません。

ただ、ここまで配管が長いと当然各吹出口からの風圧は小さくなります。
実際、個々の吹出口から勢いよく温風が出てくるわけではなく、手をかざしてみても弱い温風を感じる程度で、急速で分かりやすい暖まり方では無いですが、全体に行き渡った配管が均等に車全体が暖める感じを受けます。
一番風量の出やすいリビングシート部分に吹出口を設置していない事からも、勢いで暖める設計思考は無いようです。

通常、運転席部分は寒くなりがちなのですが、ガラス面下部と左右シート下に前後吹き出し口があるのでそういったこともありません。
プルダウンベットを展開した三方はガラスの空間なので、この部分の暖房は重要です。

シェードを開けた状態で、プルダウンベットを途中まで下げた外観

キャブコンのフロントガラスにはエンジン熱を使ったデフロスターしかありませんが、フルコンはダッシュボード周りが再構築されており、ガラス下部にFFヒーターの吹き出し口が備わっています。

以前のキャブコンでは冬場のフロントガラスの結露が著しく、就寝前にガラス下にタオルを敷いておく必要がありましたが、フルコンの広いガラス面の割に結露は少なく、暖房配管の効果がでているようです。

また、リアベッド左右のヒーター配管は穴を開けた紙ダクトで済ましているメーカーが多い中で、ハイマーは調整用レバーを備えたベントを設置していています。
この金属製のベント自体が温風で熱せられて、オイルヒーターの様な暖かさを得られる効果もあります。

マットレスをめくったり収納スペースを開いた際、無粋な紙ダクトを見せない細部の造り込みに、手作り感の無い工業製品を感じさせます。