デュカトの6速セミAT

エクシスのFIAT DUCATO・2.3Lターボディーゼル180PSマルチジェットエンジンに組み合わされる変速機は、6速コンフォートマチックといわれるロボタイズドミッション、所謂セミオートマ。

前車のアドリアのキャブコンも同じミッションでした。

現在のデュカトは

2020年からZFの9速トルコンATになっています。

クラッチ操作を自動で行うセミオートマですが、現在主流のデュアルクラッチでは無く、シングルの旧型なのでそれ程性能の良いものではありません。
自分は日常の足に15年前のシングルクラッチ・セミATの車に乗っていますが、それでも、まぁ頭悪いミッションだとは感じます。

FIATの500チンクのセミAT(デュアロジック)も同様ですが、この回路は油圧で動作しています。
キャブコンの場合は運転席ドアを開けることで油圧ポンプが始動するので、エントランスドアから乗り込んだ場合には一度運転席ドアの開け閉めをした方が良いです。
油圧が十分に上がる前にエンジンを始動していると、積もり積もってセミAT故障に繋がります。

フルコンの場合、ドア開閉での油圧ポンプ作動が無いので、キーをONに回した後に5秒位待ってからNに戻してエンジンを掛けることが重要です。

このコンフォートマチックは、あくまでクラッチ操作を機械が行ってくれるマニュアルミッションという感覚で乗る必要があります。
この世代の物はPポジションがないことは当然で、パーキング時に路面傾斜によってRか1速にいれるのはMTと同じ要領ですし、ATのようにクリープをしません。
急な坂道を高いギアで登る、坂道でブレーキを踏まずにアクセルを踏んで後退しないようにするなどのクラッチに負担をかける運転は当然禁忌です。

こう書くと何か小難しく感じますが、平坦な道を走る分には高速も市街地もシフトショックを感じることも無く普通のATの様に快適です。

ただ、坂道ではその印象が一転します。

下り坂でアクセルオフをすれば、2速まで落ちて回転数が跳ね上がって周りが振り返りそうなエンジン音を出すし、上り坂では変にシフトダウンしてもたつき、80から90Km/hで登る坂道では5速と6速を行ったり来たりするので、とても乗りずらいエンジンと感じるでしょう。

しかし、そこはF1で初めてセミオートマを使った赤い跳馬をかつて子会社としていたFIAT。
退屈な市街地と高速はオートモードで、アップダウンのあるワインディングロードはマニュアルモードで左手を動かして攻めるのが正しいと思って走るのが、このデュカトです(ホンマか)。

さすれば、町の信号で一段ずつ回転数を合わせてシフトダウンして、「ヴァン!ヴァン!」とダブルクラッチのエンジン音を響かせながら停止するこのエンジンが、赤いサソリか跳馬の心臓に思えてくることでしょう(笑)。